「親知らず」とは、前から数えて8番目の歯で、「第三大臼歯」、「知歯」とも言います。
親知らずは、萌出してくる場合と萌出してこない場合、最初から存在していない場合があります。
親知らずは、抜歯をしてしまった方が良い場合、抜歯せずに残しておいた方が良い場合があります。また、抜歯に伴い抜歯後に起こりうる可能性について、これらの事をご説明していきます。
親知らずは、生え方によっては歯磨きをきちんとすることが難しい場合があり、将来的に虫歯や歯周病、親知らず周囲の炎症を引き起こす可能性が非常に高く、手前の歯牙(第7番歯)を巻き添えにしてしまうケースも少なくありません。このような場合には早めに抜歯しておくことが勧められます。
また、親知らずが虫歯になってしまった場合、一番奥の歯牙なので治療器具が届きにくく、治療をしたとしても十分な治療ができない事があります。そのため、親知らずが虫歯になったら治療をせずに抜歯をするというケースも少なくありません。
下顎親知らずの直下には、下唇やオトガイ部(あご)の知覚をつかさどる下歯槽神経(オトガイ神経)という大事な神経が存在します。親知らず抜歯時に、この神経を圧迫してしまったり傷つけてしまうことにより、一過性に下唇やオトガイ部の知覚異常が出現する可能性があります。知覚神経なので、顔面を動かす筋肉には直接関係ありませんが、感覚が鈍くなることにより下唇を動かしづらく感じることはまれに認めます。
上顎親知らずは、上顎洞という頬骨の内側の部分の組織と近接しており、親知らず抜歯時に、上顎洞と歯牙の境目の骨が欠けてしまうことにより、口腔内と上顎洞が交通してしまう場合があります。これを上顎洞穿孔といいます。穿孔しても抜歯窩治癒と共にふさがり新たに骨が新生するのですが、まれに、穿孔してしまうことにより上顎洞内の感染を起こしてしまう事があります。これを、上顎洞炎といいます。
抜歯はもちろん、口腔内病変、気になる事、全身疾患をお持ちの方の外科処置など、お気軽にご相談下さい。